
毎度の事だが、早いもので 今日から8月、
毎月1日恒例のブログ企画【繋】も今回で60回目
何だかんだで足掛け5年ということになる。
今月のテーマは私の担当ということなので、以前から一度 書いてみたかった
「死ぬまでに読んで欲しい漫画10選」
…というお題を選ばせてもらった。
さて 何を隠そう、こう見えて私は子供の頃 漫画家を目指していた。
小学校から高校一年生になるまでは、けっこう本気で 毎日 漫画を描いていて
恥ずかしいことに中学校の卒業文集でも
「将来は絶対に漫画家になる!」と大見得を切ってしまった。
しかし所詮は広島の田舎町の井の中の蛙…
高校2年生で東京に転校となったところで さっそく漫研に入部したのだが、
そこには 既に雑誌で佳作入選した実績のある人が居て、
その人の描いた原稿を見せてもらったら…
これがもう上手いの何のって…
私の子供の落書きのような原稿と比べたら月とスッポン
大人と子供…とにかくレベルが違う。
本気でプロの漫画家を目指す奴はこんなに凄いんだと思い知らされ
急速に漫画家になる夢がしぼんでしまった。
まあ、そこで何くそと奮起しなかったあたりそれほど真剣ではなかったのかもしれない。
その後 紆余曲折を経て 現在に至るわけだ。
そんなわけで 漫画家になる夢は諦めてしまったが、
子供の頃から漫画ばっかり読んでいたため いろいろ思い入れのある作品も多いのである。
前置きが長くなってしまったが、今回はそんなたくさんの愛読書の中から
厳選した10作品を紹介させていただきたい。
さて、実際お題を決めた後で「10選は多すぎたかな…?」と ちょっと思ったりした。
いや、自分では10選じゃ全然足りないのだが、
他の人、特に漫画を普段そんなに読まない人には無理があったかな…
少々 失敗したかなと思いつつ、
いやいや、そういう方にこそオススメの作品を選ばなければ…と思い直すことにした。
以下、順番に紹介して行く。
10選という都合上、取り上げるのは一作家一作品と限定し、
複数 紹介したい作品は後に併記することとした。
第10位「はみだしっ子」三原順 (1975〜1981)
〈花と夢コミックス全13巻〉

舞台は1970年代後半、(特に明記されてないがイギリスと思われる。)
様々な理由で親元を離れた4人の子供達が居場所を求めて放浪する中で
助け合い、傷つけ合いながら生きて行く過程で起きる
争い、葛藤、苦悩、友情…
愛を求め、純粋であるがゆえに傷ついてそれでも必死で生きて行こうとする姿が
シリアスで繊細なタッチで綴られてゆく。
古い作品なので、絵柄も作風も現代の目から見ると少々古めかしく感じるかもしれないが、
内容はとにかく濃い。
大人になった今、大切な何かを失ってしまったような気分になった時
ふと読み返したくなる作品である。
作者の三原順の代表作、若くして亡くなった人なので
この作品以外は あまり知られていない。
現在は白泉社文庫版全6巻で入手可能である。
第9位 「がんばれ元気」小山ゆう(1976〜1981)
〈少年サンデーコミックス全28巻〉

「あしたのジョー」と並ぶボクシング漫画の傑作であるが、
様々な意味で「あしたのジョー」とはかなり真逆の作品である。
主人公の堀口元気は幼い頃からプロボクサーである父親と二人で
貧しいながらも世界チャンピオンを目指して共に生きていた。
しかし試合中の事故の為、突然 父を亡くし、
その後 裕福な母方の祖父母に引き取られる。
元気の母は身体が弱かった為 元気を産む際に亡くなっており、
祖父母は娘を死なせた父親とボクシングを激しく憎悪していた。
娘の忘れ形見と溺愛してくれる祖父母の愛情に感謝しつつも
父の夢であった世界チャンピオンになる夢を継ぎ
中学卒業と同時に上京、プロボクサーを目指す。
一方 試合中の事故とは言え 父を死に追いやったボクサー関拳児は
現在は絶対的無敗の王者としてボクシング界に君臨していた。
プロボクサーとなった元気は様々な試練を乗り越え
ついに関拳児との世界タイトル戦を迎える…。
この作品の大きな特徴は主人公 元気の性格設定にある。
とにかく優しくて繊細、他人の気持ちを気づかい
思いやりもあって真面目…、およそボクシングなど向いてなさそうなタイプなのである。
しかも父の死後は裕福な祖父母のもとで何ひとつ不自由の無い生活を送っており
ハングリー精神とも無縁…。
それでも幼い頃から周囲に隠れて一人で練習を重ね、
その優しすぎる性格ゆえに苦悩しながらもボクシングに打ち込む姿を
作者は丁寧に描いてゆく。
ジョーのような野生の天才では無い、努力型の優しい主人公が
悩み苦しみ這い上がってゆく中での出逢いと別れ、友情や恋なども繊細に描かれている。
ラスト、元気と関の死闘は漫画史に残る名シーンであり必見!
現在は小学館文庫版全16巻で入手可能である。
第8位「めぞん一刻」高橋留美子(1980〜1987)
〈ビッグコミックス全15巻〉

アニメ化・映画化もされて、かなり有名で人気のあった作品なので
読んだことのある人も多いのでは?
古びた木造アパート一刻館を舞台に、
さえない学生 五代裕作は管理人の若くて美人な未亡人 音無響子に一目惚れ。
二人のなかなか進展しない恋愛模様を中心に
変人だらけの一刻館の住人達が繰り広げるドタバタを描いたラブコメディで、
ある意味80年代を代表する漫画の一つと言っても良いだろう。
作者は同時期に少年サンデー誌上において「うる星やつら」も連載しており、
共に絶大なる人気で一種の社会現象を巻き起こした。
今回「めぞん」と「うる星」どちらを選ぶかで大いに悩んだのであるが、
まとまった作品としての完成度からこちらを選ぶこととした。
まあ、何というか すれ違いや勘違い等々でなかなか二人の中が進展しない。
おまけに超イケメンでお金持ちのライバル三鷹が登場し 響子に積極的にアプローチを繰り返す。
五代・三鷹・響子の三角関係の図式に加え、何故かさえない五代は母性本能をくすぐるのか
迫ってくる女の子もたくさんいたりして、響子さんの心中も穏やかでは無い。
そんな二人の距離がすれ違いを繰り返しながら少しずつ縮まってゆく日々を、
基本コメディというスタイルを取りながら 並行して悩み苦しむ二人の心情をも丁寧に綴った傑作である。
作者の高橋留美子は 当時まだデビュー間も無い時期、
連載が進むにつれて画力、表現力がどんどんレベルアップしており、
連載初期と後期ではずいぶんと印象が違う。
この時期に高橋留美子独特の作風は完成されたと言って良いだろう。
ラスト、響子さんの亡くなった旦那の墓前での五代のモノローグは感動必至!
当時の男たちはみんな ラムちゃんのような恋人や、響子さんのような嫁さんが欲しいと思ったものだった。
現在も新装版及び文庫版で入手可能。
第7位「アストロ球団」原作/遠崎史朗・作画/中島徳博(1972〜1976)
〈ジャンプコミックス全20巻〉

この作品については以前にブログで書かせてもらった。
〜2013年10月 第14回「私を変えた一冊」〜
http://aripanda1964.seesaa.net/article/376263553.html簡単に紹介すると、戦死した元巨人軍の不世出の大投手
故・沢村栄治の魂を受け継いだ野球超人達が集いアストロ球団を結成、
巨人を中心としたプロ野球界に反旗を翻し戦ってゆく姿を
熱苦しいくらいの熱気で描いた異色野球漫画である。
まあ、詳しくは第14回ブログを読んで欲しい。
とにかく異常なテンションで描かれた作品で、いまだにカルト的な人気のある作品である。
私がまだ子供の頃に夢中になって読んだ漫画で、
万人受けするものではないがハマったら病みつきになる。
永らく絶版であったが、1999年に太田出版から全5巻で復刻された。
第6位「動物のお医者さん」佐々木倫子 (1988〜1993)
〈花とゆめコミックス全12巻〉

こちらは地味ながら人気の高い作品で、2003年にはテレビ朝日で実写ドラマ化もされている。
舞台は北海道、主人公は獣医学部の学生 西根公輝(通称ハムテル)
彼が通うH大学獣医学部の学生や変わり者の教授、
そしてハムテルが飼っているシベリアンハスキー犬チョビ、
他 一癖も二癖もある関係者や動物達が巻き起こす騒動を淡々と綴った唯一無二の傑作である。
この作品、一応 主人公はハムテルなのだが、実際のところ彼の存在感は極めて薄く、
むしろH大学を中心とした ほのぼの淡々とした日常の中
どこか変な教授や学生達が繰り広げる おかしな群像劇と言って良い。
何よりも主役は動物達のおかしな生態であり、
そこかしこに散りばめられたギャグもまたいい味を出している。
タイトルでよく勘違いされるようだが、動物の命がどうした…的な感動とは全く無縁である。
恋愛の要素すらカケラも出てこない…極めて温度を感じさせない淡々としたコメディである。
これは作者の佐々木倫子独特のもので、他 見習い看護師が主人公の「おたんこナース」
場末のさびれたフレンチレストランを舞台とした「Heaven?」等々、
どこか浮世離れした桃源郷を見ているような作風は他に類を見ないものである。
現在も入手可能、白泉社文庫版全8巻が比較的入手しやすい。
第5位「パタリロ」魔夜峰央 (1978〜連載中)
(花とゆめコミックス 既刊98巻)

掲載誌をいくつも変えながら 何と現在もまだ連載中というものすごい作品、
舞台はバミューダトライアングルの真ん中に存在する架空の島国マリネラ王国、
10歳の天才少年国王 パタリロが巻き起こす騒動を、
ギャグ・スパイアクション・SF・ファンタジー・ホラー・ミステリー・落語・少年愛…
他 ありとあらゆる要素をぶち込んで描いた作品である。
何が凄いって、作者の多様な知識には本当に感服させられる。
随所に出てくる落語ネタをはじめ、SFや推理小説、果てはラブクラフトに至るまで、
その引き出しの多さには敬服する。
1982年にはテレビアニメ化もされているので
「だ〜れが殺したクックロビン〜!」の「クックロビン音頭」を覚えている方もいるのでは?
ある意味「パタリロ」の面白さは落語の面白さと言って良い。
ギャグのオチがわかっているのに何度読んでも面白い。
また、本格的ミステリー風な諸作では実際かなりハイレベルな作品も存在する。
そんなものもすべて巻き込んだ世界観の多様さも「パタリロ」の魅力である。
既刊98巻の他、「パタリロ西遊記」「パタリロ源氏物語」といったスピンオフ作品も多数存在する。現在も入手可能。
第4位「すくらっぷブック」小山田いく(1980〜1982)
〈少年チャンピオンコミックス全11巻〉

今回取り上げた作品の中では、最も知名度が低いかもしれない。
私が多感な少年期に読み、大いに感銘を受けた名作である。
舞台は長野県小諸市、主人公は芦ノ原中学校に通う柏木晴(通称晴ボン)
お人好しで真っ直ぐな彼を中心に 親友のイチノ、恋人のマッキー、
他たくさんのクラスメート達とのエピソードを優しいタッチで描いた青春群像劇である。
基本はコメディなのだが、青春期独特の恋愛模様や友情、
将来への不安や葛藤などの悩みが等身大に丁寧に描かれている。
晴ボンが絵を描くことが好きな美術部員という設定も、
当時やはり美術部であった自分はかなり身近に感じたものだ。
自然豊かな小諸の風景の中で、純粋にひたむきに生きる生徒達の姿に、
当時 どれほど励まされてことだろう?
今でも時々 読み返して見る。
大人になった今、純粋に生きることの難しさを知り妥協を覚えた自分は もうあの頃には戻れない。
傷つきながらも真っ直ぐであろうとする晴ボン達の姿に胸が痛くなる。
今回順位的には4番目であるが、思い入れの強さでは1番かもしれない。
残念ながら現在は絶版状態。中古でヤフオクやAmazonでの購入は可能である。
第3位「私を月まで連れてって」竹宮惠子(1977〜1986)
〈フェアレディービッグコミックス全6巻〉

竹宮惠子の作品で、これと「風と木の詩」どちらを取り上げるか
大いに悩んだのだが、読後感の爽やかさからこちらに軍配を上げた。
舞台は21世紀後半のアメリカ、
主人公はNASAに務めるA級ライセンスの宇宙飛行士ダン・マイルドと
超能力を持った9歳の美少女ニナ・フレキシブル。
この二人の何と年齢差17歳の恋模様を中心に、
SF・ファンタジー要素を散りばめた愛すべきSFラブコメディの傑作である。
まだ小学生ながら、エスパーであるがゆえ精神的には妙に大人びているニナと、
優秀なパイロットでありながら遊び心と好奇心に溢れたダン・マイルド。
火星のマーズポートで運命的に出会った二人、ニナの積極的なアプローチに対し、
始めのうちは「僕にはロリータ趣味はない!」と拒絶していたダンも、いつしか彼女に惹かれてゆく。
そして二人を取り巻く賑やかな面々の何とも愛らしく個性的なことか。
そんな賑やかな登場人物達が巻き起こす騒動とドタバタを
軽妙なタッチで綴った少女漫画史に残る傑作である。
基本はSFコメディであるが、SF世界への入門書としてもたいへん魅力的な作品である。
随所に散りばめられたSF諸作品へのオマージュは、
SF初心者であった私にハインラインやブラッドベリ他の素晴らしい作品世界への扉を開いてくれた。
また、このタイプの作品としては珍しく時間の流れに沿って描かれており、
連載開始当初は小学生だったニナも後半では16歳くらいにしっかり成長しており、
対等なパートナーとして ダンをすっかり尻に敷いてる感じで微笑ましい。
後に長い時を経て続編と言える「ブライトの憂鬱」(2000〜2004)が発表された時には歓喜した。
こちらはギャグ要素はあまりなく、ナイーブな超能力少年ブライトを中心とした ややシリアスな作品であるが、大人になって結婚したダンとニナも重要な役どころで出演しており、ファンは必読の感動作である。
現在も復刻版で入手可能、小学館文庫版全4巻が比較的入手しやすい。
第2位「超人ロック」聖悠紀 (1967〜連載中)
〈少年画報社完全版全37巻、他 多数の出版社から既刊、続刊中〉

これはもう、物凄い作品である。作品が初めて発表されたのは1967年、
何と50年を超えて いまだに連載中という恐るべき長寿作品である。
掲載誌も少年キング、月刊OUT、コミックフラッパー等々多岐に渡る。
(「超人ロック」が載った雑誌は潰れる…という不幸な都市伝説まで存在する。)
主人公は不老不死のエスパー「ロック」
千年の時を超えた長い時間に渡って生きながらえる彼が、
その時代ごとの争いに巻き込まれたり、その力を利用しようとする者に狙われたり…、
その時々で巡り合う人達との出逢いと別れ、
永遠の命を持ちながら悩み苦しみ生きてゆく姿を綴った壮大な物語である。
とにかく主人公のロックがカッコいい。
緑色の髪の哀しい眼をした伝説の宇宙最強と呼ばれるエスパー、
本気になったら 惑星の一個くらいは消滅させるくらいのパワーを持っている。
それゆえロックは、出来れば人目を避けてひっそりと暮らしたいと思っているのだが、
結局いつも事件に巻き込まれたり、人々の命と平和を守る為 自ら赴かざるを得なくなり、
不本意ながら闘いに身を投じる結果となる。
強大な力を持ちながら、時には力及ばず 多くの人達が死んでゆくのを傍観するしか出来ない事もある。
「超人ロック」は永遠の命を持った主人公と限りある命を精一杯生きようとする人々の邂逅の物語である。
生きるというのはどういうことなのか?
限りある命だからこそ、人は精一杯生きようとするのでは無いのか?
永遠に死ぬことのないロックはいつも哀しい眼をしてる。
そんな彼も時には人を愛したり、気のおけない友人を得て幸せそうな姿を見せることがある。
そんなロックを見た時は何だかこちらもホッとしてしまう。
発表から50年を越える作品にもかかわらず、現在もバリバリに進行形で連載中であり、
近作の充実具合には本当に感服させられる。
単行本もいろいろな出版社からそれぞれ出ており、全貌を掴むのが難しい。
各社合わせれば100巻近くなるのではと思われるが、正直もうよくわからない。
とりあえず初めての人には、少年画報社文庫版全27巻がオススメである。
さてさて、長々と書いてきたが、ようやく1位の発表である。
第1位「ポーの一族」萩尾望都 (1972〜1976、2016〜続編を執筆開始)
〈フラワーコミックス全5巻、続編「春の夢」〉

これはもう、少女漫画史だけでは無く、日本の文学史に残る傑作だと思っている。
西洋に古くから伝わる吸血鬼伝説をもとに、永遠の命を持ったヴァンパネラの少年エドガーの物語を、
200年を超える時空に渡って描いた作品である。
ヨーロッパの何処かにあるヴァンパネラの暮らす伝説の「ポーの村」
孤児であった少年エドガーは偶然その秘密を知ってしまったことから
吸血鬼一族の仲間にさせられてしまう。
やがて追われるように村を出たエドガーは、最愛の妹メリーベルも亡くしてしまう。
絶望の中で出会った孤独な少年アランを仲間に引き入れたエドガーは、
その後100年に渡る永い時をアランと共に放浪する。
18世紀から20世紀に至るまで時間の中での様々な出逢いと別れ、
永遠の命を持ったエドガーの孤独と哀しみ、その一瞬一瞬の時代の中で巡り合う人々との束の間の触れ合い…
あれ…、何かさっきの「超人ロック」と似てないか…?
どうやら私は「永遠の命を持ったゆえの孤独と哀しみ」というシチュエーションが好きなようだ。
しかし、ロックがおよそ何をやっても死なないくらい強く頑丈なのに比べ、エドガーはかなり脆い。
永遠の命を持っているというより歳を取らないだけなのだ。
現にエドガーの仲間のヴァンパネラ達も、銃で撃たれたりナイフで刺されたり、
事故にあったりであっけなく死ぬ。
ちなみにヴァンパネラは死ぬ瞬間に跡形もなく消滅する。
それはもう哀しいくらいに呆気ない。
エドガーはヴァンパネラの中でも特別優秀な血を受け継いだ為、
他の吸血鬼よりは能力が高く丈夫なだけで、心臓に杭を打たれたり首を飛ばされればもちろん死ぬ。
少年の姿とはいえ、200年に渡って生きてきたエドガーは
冷徹で頭が良く、滅多なことでは失敗はしない。
しかし相棒のアランは感情的で子供っぽいところがあり、何かとトラブルにも巻き込まれやすい。
そんな二人の ある意味で少年愛にも近いような微妙な感情の起伏を作者は繊細なタッチで描き出す。
また この作品は永遠の時を生きるエドガーに魅せられた人々の物語でもある。
若い頃に出会った謎めいたヴァンパネラの姿を追い求め、
生涯を費やした老人が夢の中でエドガーと再会するシーンは感涙必至!
とにかく私の拙い文章ではこの作品の魅力はとても伝えきれない。
今から40年前、少年誌が「友情!努力!勝利!」などと言ってる頃、
少女漫画は文学に肩を並べる世界を描いていたのだ。
現在もフラワーコミックス全5巻が普通に入手可能であるから、騙されたと思って読んで欲しい。
さらには驚くべきことに40年の時を経て、
昨年2016年から「ポーの一族」の続編が連載再開されたのである。
40年の時間が流れ、作者の画風も大きく変わってしまったが、
作品全体を包む空気感は正しく「ポーの一族」そのものであった。
現在は中断中であるが、来年 新たに連載が再開されるとのことで、待ち遠しくてならない。
さてさて、本当に長々と語ってしまった。これでも随分と端折って書いたのである。
個々の作品の魅力はとてもこの程度で語れるものではない。
また改めて、個別に深く突っ込んで書いてみたいものである。
ちなみに今回は泣く泣く選から外したが、
他オススメの作品たちもタイトルだけ載せておく。
こちらも負けず劣らずの傑作なので、機会があったら読んでみて欲しい。
それほどマニアックな作品はあんまり選んでいない。
そもそも漫画に関しては比較的オーソドックスなものから読んだ方で
レア物や辺境を探るというタイプでは無かった。
全体に古い作品が多いのはまあ、仕方ないということで…。
〈惜しくも今回は選外となってしまった作品〉
トーマの心臓 / 萩尾望都 (1974)
11人いる! / 萩尾望都 (1975〜1977)
風と木の詩 / 竹宮惠子 (1976〜1984)
ベルサイユのばら / 池田理代子 (1972〜1973)
砂の城 / 一条ゆかり(1977〜1981)
有閑倶楽部 / 一条ゆかり(1981〜2011)
希林館通り / 塩森恵子 (1979〜1980)
ガラスの仮面 / 美内すずえ (1976〜)
エースをねらえ! / 山本鈴美香 (1973〜1980)
Heaven? / 佐々木倫子 (1999〜2003)
ロッカーのハナコさん / 石井まゆみ (1997〜1999)
キャリア こぎつね きんのもり / 石井まゆみ (2004〜2007)
キャリア こぎつね きんのまち / 石井まゆみ (2009〜2011)
ぽっかぽか / 深見じゅん (1987〜2015)
お気に召すまま / 布浦翼 (1992〜1993)
ぴくぴく仙太郎 / 布浦翼 (1992〜2011)
のだめカンタービレ / 二ノ宮知子 (2001〜2010)
花より男子 / 神尾葉子 (1992〜2004)
君に届け / 椎名軽穂 (2006〜)
巨人の星 / 梶原一騎・川崎のぼる (1966〜1971)
あしたのジョー / 高森朝雄(梶原一騎)・ちばてつや (1968〜1973)
すすめ‼パイレーツ / 江口寿史 (1977〜1980)
ドラえもん / 藤子不二雄 (1969〜1996)
オバケのQ太郎 / 藤子不二雄 (1966〜1973)
機動警察パトレイバー / ゆうきまさみ (1988〜1994)
リボンの騎士 / 手塚治虫 (1953〜1967)
ブラックジャック / 手塚治虫 (1973〜1983)
火の鳥 / 手塚治虫 (1954〜1986)
デビルマン / 永井豪 (1972〜1973)
サイボーグ009 / 石ノ森章太郎 (1964〜未完)
野球狂の詩 / 水島新司 (1972〜1977)
キャッツ・アイ / 北条司 (1981〜1984)
恐怖新聞 / つのだじろう (1973〜1975)
銀河鉄道999 / 松本零士 (1977〜1981)
宇宙海賊キャプテン・ハーロック / 松本零士 (1977〜1979)
うる星やつら / 高橋留美子 (1978〜1987)
タッチ / あだち充 (1981〜1986)

さてさて、ブログ企画【繋】は 毎月1日に、
参加メンバー全員が共通のテーマでブログを書くという企画です。
今月から新しいメンバーも参加しました。
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