今回のお題は私が決めさせていただいた。
以前 私がお題を担当した時は
「my favorite artist」というテーマで
皆の好きな音楽について語ってもらったので、
今度は映画について聞いてみようというわけである。
音楽、映画、読書といったものには
その人個人の人間性が滲み出るものだと思うので、
皆がどのような映画について語ってくれるのか とても楽しみである。
とは言ったものの、いざ自分で書いてみようとしたところ
何について書けば良いか ずいぶん悩むことになってしまった。
世の中の映画好きという人達に比べれば
観てきた本数がかなり少ない方であろう。
一般に名作と言われる名画でさえ ほとんど観ていないに等しい。
実際 自分がはまった作品を思い起こせば
アニメだ 特撮だ アイドルだ…
やばいな…、幼稚な人間性 丸出しである。
まあ、カッコつけてもしょうがない。
映画について語れと言われて、何が一番熱く語れるかという意味で、
今回は「怪獣映画」について語って見たいと思う。

さて、日本の怪獣映画というのは世界的に見てもかなり特殊なジャンルである。
昭和29年(1954)、日本初の怪獣映画「ゴジラ」が製作されてから
今年でちょうど60年になる。
その間に作られてきた作品は
「ゴジラシリーズ」をはじめ「ラドン」「モスラ」等々
数多くの怪獣映画を作ってきた東宝作品に加え
大映の「ガメラシリーズ」、他に日活の「ガッパ」や松竹の「ギララ」等々…
その数は100本近くに上る。
世界的に見ても、こんなに継続的に怪獣をテーマにした映画を作り続けたのは日本だけであり、
これはかなり特殊な例である。
(今回は焦点を怪獣映画に絞るので割愛するが、
SFや怪奇ホラー、パニック、ファンタジー等々
特撮映画というジャンルで語れば膨大な作品数になるだろう)
もともと 元祖怪獣映画と言われる「キングコング」がアメリカで製作されたのは1933年。
後に1953年、アメリカ製作の映画「原子怪獣現る」は
北極の氷河の下に眠っていた古代恐竜が
水爆実験の影響で目を覚ましニューヨークを襲うという映画。
「ゴジラ」はこの二つの作品の影響のもと、
東宝の田中友幸プロデューサー発案に特技監督 円谷英二、監督 本多猪四郎らが加わり制作された。
制作日程の都合上、ゴジラの特撮シーンの撮影は
それまでアメリカで特撮の主流であった時間のかかるコマ撮りの人形アニメではなく
着ぐるみのぬいぐるみを使っての撮影というスタイルとなったのだが、
これが結果的に大成功で日本独自の「ぬいぐるみ怪獣」というジャンルを作ることになる。
ストーリーは前述の「原子怪獣現る」を参考に
水爆実験の影響で海底に眠っていた太古の怪獣が目を覚まし東京を襲うという内容であるが、
「原子怪獣」が娯楽活劇的要素が強かったのに比べ、
この第一作「ゴジラ」は全編に渡り水爆の悲劇、核の恐怖をテーマにおいた
メッセージ色の強い内容となっている。
ここにはやはり、世界唯一の被爆国である日本ならではの視点が込められていると考えられる。
ゴジラを葬り去る禁断の化学兵器を発明した科学者は
ラストで自ら その命を断ち 深い余韻を残す…。
何はともあれ、この「ゴジラ」は知識人からの
「ゲテモノ映画」「子供だまし」といった不評とは裏腹に記録的な大ヒット、
海外にも輸出され 東宝と特撮の円谷英二の名を世界に知らしめることとなる。
好評を受けて翌年 大急ぎで続編の「ゴジラの逆襲」が制作される。
この作品ではゴジラに加えアンギラスという怪獣が登場、
大阪城をバックに二大怪獣が対決するというもので、
ここに世界初の怪獣同志の対決を見せ場にした映画が誕生するのである。
後に怪獣プロレスなどと揶揄されることにもなるのだが、
それまで誰も見たことも考えたこともなかった巨大怪獣同志の迫力ある対決は人気を呼び、
1956年には初のカラー撮影による「空の大怪獣ラドン」
その後も「大怪獣バラン」(1958)、「モスラ」(1961)、「キングコング対ゴジラ」(1962)、
大映制作の「ガメラシリーズ」(1965〜)等々…
日本は世界唯一の怪獣王国に成長してゆくのである。


その後 テレビでの「ウルトラマン」をはじめとした怪獣ブームが起こり、
その影響で怪獣映画は次第に対象を低年齢層にシフトしてゆく。
ゴジラも子供達のヒーローとなり 正義の味方の怪獣へと変貌してゆくが、
粗製乱造もあって人気にだんだんと陰りが見えてくる。
やがて映画産業の不振もあって ガメラを制作してきた大映も倒産、
本家東宝も1975年の「メカゴジラの逆襲」を最後にしばらく怪獣映画の制作を休止、
怪獣不遇の時代を迎える。
そして1984年、9年ぶりに「ゴジラ」は復活、
ひさしぶりに原点である恐怖の象徴として描かれたゴジラはまずまずのヒット、
やや間を置いて5年後の1989年制作の「ゴジラvsビオランテ」以降、
「平成ゴジラシリーズ」としてコンスタントに制作されるようになる。
また 1995年に大映制作、東宝配給で公開された「ガメラ大怪獣空中決戦」で
ガメラは設定を一新して復活。
大人の観客を対象としたシリアスな内容は
「こういった怪獣映画が観たかった」と多くのマニアに言わしめ、
その後「ガメラ2 レギオン襲来」(1996)、
「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」(1999)までの作品を合わせ
「平成ガメラ三部作」として高い評価を得る。

一方の東宝は2000年代以降の「ゴジラミレニアムシリーズ」にも陰りが見られ、
2004年の「ゴジラ FINAL WARS」を最後に 以降 怪獣映画を制作していない。
さてさて、こうやって歴史を大まかに語っているだけで随分と時間がかかってしまった。
これだけではお話にならない。
私がなぜ怪獣映画に魅かれ、どこに魅力を感じているのかを語らねば片手落ちである。
ところが これが理屈では語れないのである。
好きだからとしか言いようが無い。
およそ物心がついた頃から 周りには怪獣があふれていた。
テレビをつけても、子供向けの雑誌でも、
はるか巨大な怪獣はカッコ良くて可愛らしく美しく、
私は何百という怪獣の名前を自然と覚え、
夢中になってテレビや映画の画面をかじりついて観て、
周囲の大人や友達からも「怪獣キ○ガイ」などと呼ばれていたりした。
当時は私だけではなく周りの子供達も皆 怪獣が大好きで、
学校での話題や遊びでも怪獣はその中心であった。
そんな幼少期に刷り込まれた感動ではあるが、
ふつう大半の子供達は思春期を迎える頃に怪獣などは忘れてゆく。
ところが私は逆に その頃になって、今度は特撮の魅力やストーリー、
音楽や造形、様式美といったマニアックな視点で
あらためて怪獣及び特撮映像の世界にのめり込んでしまったのである。
ここまで来ると もはや理屈では無い。
例えば、映画好きを自称する人なら、
この監督の作品は絶対に観に行く…といったものがあるだろう。
私の場合、それに当てはまるものが「怪獣映画」だったわけだ。
最近では「パシフィック・リム」等、
日本で作られていた怪獣映画の影響を感じさせる作品が海外で制作されたりして
それはそれで嬉しいのだが、
やはり本家日本の、怪獣映画の新作を早く観たいものである。
出来ればCGなどには頼らず、伝統の着ぐるみで、
精巧なミニチュアワークと操演技術はもはや様式美であり、
安易なCGでは絶対にあの味は出せないのだから。

何でもかんでも新しければ良いというものではない。
それは音楽も同じである。
長々と書いた割には、歴史について語りすぎて かなり尻すぼみになってしまった感もあるが、
時間もないのでこの辺でとりあえず終わりにしよう。
またいつか、個々の作品についても突っ込んで書いてみたいと思う。
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